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生活全般、環境全般から、私たちは健康面にどんな影響を受けているか考えてみよう!

住まいとくらしの健康

アレルギーや化学物質過敏症、シックハウス症候群など、環境由来の健康影響の背景として、私たちの生活全般の変化が大きく影響しています。
今回は、これら環境の変化について、考えていきたいと思います。

近年、我が国のみならず、全世界的にアレルギーや化学物質過敏症、シックハウス症候群など、環境由来の健康影響が大きな社会問題として取りざたされています。特に、アレルギーに関しては、多くの方々の関心は非常に高く、アレルギーに関する研究もより一層盛んになってきています。

1.環境変化による影響

(1)環境問題

私たちの生活が便利になるに従って、地球規模における環境、身の回りの環境はともに大きく変化してきました。
私たちは、衣食住全般において、科学的な文明の発達、特に化学物質の恩恵を享受しながら生活をしています。
しかし、同時にこれらの便利で簡便な生活や求めるが故に、環境に悪影響を与えて、健康に悪影響を受けてきたという事実もあります。

環境面に目を向けてみましょう。
環境基本法では、公害を、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭として、典型七公害と定義づけています。これに加えて森林の衰退、砂漠化、酸性雨、炭酸ガス濃度の上昇に伴う地球温暖化、オゾン層破壊、閉鎖性水域における富栄養化現象、海洋汚染、耕地面積の減少、人口増と食料危機、エネルギーや資源の枯渇問題などなど、これらが密接に関連しあってい複合的に作用し合っていることを、先ず大前提として考えていく必要がありそうです。

(2)健康に及ぼす影響(健康影響)

環境という大きな視点の一方で、身近な環境、いわゆる生活や住環境に目を向けて見ることにしましょう。
ダニやカビなどにより悪化するアトピー性皮膚炎やぜんそく、食べ物による健康影響の一つである食物アレルギー、汚れた空気が誘引となるぜんそく、化学物質による室内空気の悪化に伴い引き起こされるシックハウス症候群など、環境と大きく関わる疾患および症候群が出現しています。

これら、環境に由来する健康影響の背景を知ることにから、私たちの生活の中で、環境や健康に影響を及ぼす汚染物質の発生源について考えていきたいと思います。

2.大気汚染の影響

私たちを取り巻く環境への悪影響として、大気汚染、土壌汚染、騒音などをあげました。そのうち、環境に影響を受ける疾患および症候群(アレルギーやシックハウス症候群など)に対して、大きく影響を及ぼす大気汚染について考えてみましょう。

(1)大気汚染

①.背景

大気汚染が問題視されたのは、産業の発展とともに使用された石炭燃料によるばい煙、そして石油燃料による粉じん、硫黄酸化物などのガス状物質が、大気に含まれるようになったことが理由です。
工場などの排気物質については、排ガス処理を各工場で行うことにより改善されてきましたが、発生源が移動する自動車やトラックなどからの排気ガスは、現在もなお問題になっています。

②.発生源

大気汚染の発生源は、自然起源と人為起源に分類することができます。自然起源には、火山噴火、森林火災、花粉、海塩粒子などがあります。
人為起源としては、化石燃料の燃焼、生活活動に伴うもの、廃棄物の処理などによるものがあります。
また、この他にも大気中で紫外線を伴った化学反応により、超微粒子および光化学オキシダントなどが二次生成により発生しています。

③.大気汚染物質

人の健康に影響を及ぼす大気汚染物質については、環境基準値が定められており、具体的な健康影響についても分かってきています。
二酸化硫黄(SO2):化石燃料の燃焼⇒呼吸困難、咳、ぜんそく、気管支炎
一酸化炭素(CO):燃料の不完全燃焼、工場・自動車の破棄ガス⇒頭痛、吐き気、呼吸困難
浮遊粒子状物質(SPM):工場・自動車の排気ガス⇒ぜんそく、気管支炎、じん肺、肺水腫など
二酸化窒素(NO2):紫外線による光化学反応、排気ガス、不完全燃焼⇒咳、めまい、呼吸困難、肺水腫
光化学オキシダント(Ox)紫外線の吸収⇒粘膜刺激、呼吸影響
超小粒子状物質(PM2.5):咳、ぜんそく、気管支炎、呼吸困難

有害大気汚染物質として環境基準が設けられている物質として、ベンゼン、トリクロロエチレン、テラクロロエチレン、ジクロロメタン、ダイオキシン類が挙げられます。
ダイオキシンは、塩素を含んだ物質の低温による燃焼で発生する猛毒で、主にごみ焼却施設が発生源となっています。
特に室内空気質では対象にしていないものもありますが、これらの物質は、当然室内空気中でも基準を守らなければなりません。
その他にガス状硝酸、PAN(ペルオキシアセチルトレート)、ガス状フッ素、塩化水素など、また悪臭物質として規制されている物質についても大気汚染物質となります。

④.大気汚染物質の室内への影響

③.で挙げた大気汚染物質は、室内空気では、近隣の工場、クリーニング工場、幹線道路など発生源の位置、その時の外気風および天候などに起因することが多く、建物の外気取り入れ口の位置、方角などを考慮することも重要です。
第一種、第二種機械換気の場合、空気の取り入れにエアーフィルターを設けることにより、ある粒径範囲の粒子状物質を除去することも可能ですが、ガス状物質は、通常の粒子除去用エアフィルターでは除去することができません。この点が由々しき関心事といえます。

ガス状汚染物質については、室内に発生源がある場合、オゾンなど、壁・床などの内装表面に吸着するような物質を除けば、ほとんどが外気と同等か換気不足で外気よりも高くなる傾向となります。
室内空気もさることながら、外気の状況も考慮にいれることが、より高清浄な空間をつくり出すポイントとなります。

(2)外気の侵入による室内汚染

建物の内部の空気は、室内で発生する物質はもとより、外気の空気を換気により取り込んでいることから、室内空気汚染を語るうえで外気の性状を把握することはとても重要であるといえます。
特に住宅などでは、外気を取り入れる際、汚染物質を除去するフィルターを設置していない場合があるため、取り入れた空気がそのまま外部の空気となっていることが多く、外気の汚染がそのまま室内の汚染となることがあります。

なお、熱交換器が併設された24時間換気システムを採用している住宅で、粒子捕集用の粗じんフィルターを設置している場合であっても、粒子物質の除去には、ある程度の効果はありますが、揮発性有機化合物(VOC)などのガス状物質の除去は行われていない点を十分理解したうえで対策を講じる必要があります。

3.住環境の変化

(1)室内空気

現代人の多くは、一日の大半の時間を建物室内で過ごすことから、室内空気が汚染され居住者がその汚染された空気にさらされることによって、居住者の健康へ大きく影響を及ぼすという問題が起きています。
室内空気に影響を及ぼす汚染源として、ホルムアルデヒドのように居住者が持ち込むものから発生するもの、調理や喫煙など人の活動により発生するもの、外気から侵入するものなどがあります。
現在の建物は、高断熱、高気密化が進められ、外との熱や空気の出入りが極端に少なくなっていますので、一旦室内で発生した汚染物質は、積極的に換気を心掛けなければ、周辺外気との入れ替わりらず室内に滞留し続ける傾向にあり、汚染物質濃度が高くなった空気となります。

(2)欧米における室内空気汚染問題

欧米諸国では、1970年代前半におこったオイルショックにより、省エネルギーのため、ビルの換気量の低減が図られました。
同時に建物の気密化が進められ、さらに、室内はカーペットなど接着剤を多く使われたもので構成され、室内における空気環境が悪化しました。
結果、そうしたビルで働く労働者が不定愁訴(体調が悪いという自覚症状はあるにもかかわらず、検査をしても原因となる病気が見つからないこと)を訴えることが多く発生しました。
現在、世界保健機関(WHO)では、以下の様な粘膜刺激症状を種とする症状で、問題となる建物を離れると解消するという特徴を有するものをシックビルディング症候群と呼んでいます。

(3)日本における室内空気汚染問題

日本においては、シックビル症候群よりも住宅でのシックハウス症候群の問題の方が大きいといえます。
住宅がビルより問題となった理由として、日本の住宅が省エネルギー性の高い気密住宅になったこと、ビニールクロスや合板によるフローリングを使用した内装材料へ変化したこと、特に接着ざいやホルムアルデヒドが揮発したことが主原因とされてきました。
その他、核家族化が進み日中に居住者がいないため換気が行われず室内濃度が上昇することなど、様々な要因が挙げられます。

①.現状の室内空気への影響要素

生活環境が大きく変わる中、室内空気に影響を及ぼす建物環境の変化の原因として、建築材料・内装材料、室内居住者が使用する家庭用品の変化があります。
近年、住宅ではフローリングなどの複合材などが多用され、日常使用する家具の種類によっては、化学物質の発生が多くなり、これらが室内の空気質を悪化させる原因となっています。
また、室内における酸化や加水分解など、化学反応による汚染物質の二次生成についても指摘されています。

室内において、イオンを発生する空気清浄機や脱臭器などのオゾンを発生機器が存在する場合、室内にある消臭剤に含まれるリモネンとの酸化反応により、有機酸類、有機エアロゾルが生成されます。
有機酸類、有機エアロゾルに関しては、盛んに研究が行われるようになっています。
さらに、接着剤と加水分解を起こして、室内におけるホルムアルデヒドの濃度が時間を経てもなかなか減少が見込めないことがあります。

なお、住宅においては、居住者の意識により、喚起が適切に行われていない場合があります。たとえば、窓開け換気が行われなかったり、24時間換気システムがある住宅でも、それが適切に作動していなかったり、居住者によって停止されることなどが挙げられます。

②.今後の室内空気への影響要素

大気汚染物質の一酸化炭素(CO)、窒素酸化淵(NOx)やラドン、化学物質のうち建材からの発生の低減が進められているホルムアルデヒドや脂肪族・芳香族炭化水素については、従来から室内空気汚染の原因として、問題視されてきました。そのため、これらは既におでん部発生のメカニズムも解明され、対策も確立されていることから、今後は低減すると予測されます。

対して、蚊が反応により、二次的に生成するアルデヒド類や酸化防止剤、可塑剤などの順揮発性有機化合物(SVOC)は、増加傾向になるのではないかと予測されています。

また、粒子状物質については、室内における喫煙の減少、大気汚染の改善から浮遊粉じん濃度としては減少すると予測されます。
しかし、ダンプネス(局所的な湿度環境の変化)や室内飼いのペットの増加により、浮遊微生物やアレルゲン粒子などの濃度が増加する可能性が示唆されています。
さらには、それらの汚染物質による健康影響について注視することが、今後必要と考えられています。

4.環境の変化とこれから

化学物質の恩恵を受け、生活は便利に、衛生的になり、かつ食生活は量・質ともに満たされ、医療進歩のおかげで寿命も延びるなど、私たちの衣食住のスタイル、生活行動スタイルは大きく変わりました。
しかし、その辺か中で、環境由来といえる健康影響、アレルギーなどは増え続けています。アレルギーや化学部室過敏症、シックハウス症候群に罹患した人やその家族はそれぞれの問題に直面し、改善を図ろうとしています。

例えば、気管支ぜんそくの患児がいる家族は、ぜんそくの発作が起きないよう医療機関に相談しながら、長期管理薬で患児の気道の炎症を抑え、室内空気を衛生的に保つために環境整備を行い、かつ急な発作が起きることも想定しながら生活しています。
しかし、ひとたび発作が起きると、発作治療薬を使用して発作を抑えたり、緊急に医療機関に受診しなければならない可能性もあります。

こうしたケースが日常的に増える中、これからのステップとして、アレルギー等に罹患した人やその家族だけでなく、周りの人がその病気や症候群に対して理解し、協力・配慮していくことが必要になります。
昨今は食物アレルギーの児童等も増えていることから、児童等を預かる保育所や幼稚園・学校では周りの人が協力、配慮するような取り組みが徐々に増えています。
また、災害時に避難所の中でアレルギーに罹患した人への周囲の支え、協力も必要になります。
つまり、自分がアレルギーなど環境由来による健康影響を直接請けていなくとも、他人ごととしないことが大切です。
今後、私たちは、衣食住の生活・環境の見直しを図りつつ、健康影響を受けている人を理解し、ともに協力しながら、暮らしやすい環境を作り上げていくことがますます必要となるでしょう。

当サイトでは、環境アレルギーにおけるこのような背景を踏まえ、アレルギー等の環境由来の健康影響の正しい知識をお伝えしていきます。
また、暮らしやすい環境を作り上げるために大切な知識やアイディアをお伝えしていきます。具体的には、今後の投稿にて保育所や幼稚園・学校でのアレルギーなどの症状がある児童への対応、各アレルギーや化学物質過敏症、シックハウス症候群についての基本的な情報、住環境において健康に影響を及ぼすダニ、カビ、化学物質などにな対する基本的な対処方法や予防対策について、情報を発信していきますので、情報収集にお役立て下さい。

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