ホウ酸と聞いてあなたはどんな印象を持たれるでしょうか?
目薬の成分?
スライムの実験で使ったっけ?
薬局屋さんで見たかな?
あのゴキブリのホウ酸団子かな?
塩酸とか硫酸と同じでちょっと危険なものなのかな・・・
こんな感じで、みなさんの印象も様々なようですね。
僕にとってホウ酸は、幼い頃から親しみがある存在でした。
どういうことか、というと・・・、
実家の救急箱にはいつも小袋に小分けになったホウ酸が入っていたのです。
そして、ものもらい(関西ではめばちこって言うらしいですね。)になりかけの時、
母親に言うと、良く、『ホウ酸で目を洗っておきなさい!』って言われたものです。
そして、茶碗にお湯を入れて、小袋のホウ酸をささーっと入れてかき混ぜると4分の3位溶けて、
残りの4分の1は溶けきらずに残ります。そのホウ酸が溶けた液体を脱脂綿に湿らせて、目を洗うのです。
汚れた手で目を擦ってしまった後はたいていものもらいになって、腫れ始めますので、
殺菌効果の高いホウ酸は目の消毒には持って来いなのです。
こんな具合に世界中の私たちの生活のなかで、しかも思いがけないところで、
ホウ酸無くして私達の生活は成り立たないのでは?って言うくらい、
あらゆるところでホウ酸は活躍してくれています。
そんな地味な存在のホウ酸君にちょっと焦点を当てて、
ホウ酸君のスゴいところ紹介していきたいと思います!
1.自然の鉱物。だからどこにでも存在する、それがホウ酸塩。
ホウ酸塩は原子番号5番のホウ素が酸素と結合したもので、
海水、土壌、湧き水、温泉水など自然界の様々な所に存在します。
カリフォルニアやトルコに大きな鉱脈があり、世界100ヶ国2500社にホウ酸塩を供給する
Rio Tinto Minerals社の採掘場もカリフォルニアにあり、
50万tを超えるホウ酸塩が世界市場へ供給されています。2.私達のとても身近なところで活躍しています。
ガラスや断熱剤、洗剤や目薬、そしてキャビアの保存剤やゴキブリのホウ酸団子、
また骨粗鬆症対策やバストアップ効果を目的としたサプリメントなどなど
私たちの身近なところでホウ酸塩は活躍しています。
また、ホウ酸塩は植物にとって必須微量栄養素なので、
国内では年間3,000t、世界でも年間60,000tものホウ素系肥料が幅広く使われています。
更に意外にも世界最高峰のバイオリン、ストラディバリウスも
ホウ酸処理を施すことにより長期保存を可能にし、
銘器と呼ばれる音色を奏でることが出来ているのです。
3.日本の考え方と世界の考え方。ホウ酸は世界標準です。
オーストラリアでは6mを越えるシロアリ塚が観光名所の一つとなっているほど
シロアリの生態が活発なことから、世界的にも先駆けて研究が始まり、
1930年代にホウ酸塩がシロアリの予防に効果があると発表しています。
またニュージーランドは1950年代からラジアータパインのホウ酸処理に乗り出し、
現在では政府によるホウ酸処理義務付けに至ってます。
アメリカではUS EPA(米国環境保護庁)により住宅の予防処理剤として農薬系合成薬剤の認可は一つもなく、
ホウ素系薬剤のみが認可を受けている状況です。
1990年代のハワイではCCAからホウ素系薬剤に市場が逆転し、
ほぼ100%を占める割合にまで至っています。
4.神経に作用する神経毒でじゃない食毒性。つまりこれが安全性の証。
合成薬剤は農薬であり殺虫剤です。
これらには神経毒性があり神経系を持つ全ての生き物に作用します。
これに対してホウ酸塩は水溶性の食毒です。
哺乳動物は腎臓機能により尿で排出されますが、
昆虫以下の生物にはこの機能が無いため、
細胞内のホウ酸濃度が高まることで補酵素の機能が失われ、
細胞分裂や排泄などエネルギー代謝がストップし死に至ります。
ホウ酸塩のこの機能は木を腐らせる木材腐朽菌やカビ菌に対しても
強力に威力を発揮し予防します。
農薬系合成薬剤の無作為な使用に伴い、
近年ミツバチの大量失踪問題(CCD)が社会問題となり、
各方面からネオニコチノイド系農薬による影響との見方が高まっています。
5.空気を汚さない。だから高性能住宅と相性がいいのはホウ酸塩。
農薬系合成薬剤で住宅のシロアリ処理をすると
殺虫成分が揮発蒸散し居室の空気を汚します。
その汚れた空気を日々慢性的に吸入し続けることによる健康事故が多数発生してきました。
これに対し自然の鉱物であるホウ酸塩の場合、蒸発するのは純水だけなので、
施工後にホウ酸塩が空気を汚すことはありません。
大切なのは、水をはじく木材に対して梅雨時期や寒い冬季でも
ホウ酸塩を効果的に浸透させる製品力と施工技術です。
正しく処理された住宅であれば性能上、再処理を必要としません。
5年毎に再処理を繰り返す農薬系合成薬剤とは、
安全面、コスト面で大きな違いとなります。